| 白血球・遺伝子修復能力と寿命 細胞や腸管の内側の細胞は、常に入れ替わっています。役目を終えた白血球の細胞は、組胞自身が持っている機能によって壊されて吸収されてしまいます。 改造生物、人工生物へ 21世紀の科学技術は、いよいよ改造人間や人工生物へ向かっています。 クローン人間や遺伝子組み換え食物の話ではありません。ヒトが作り替えられようとしています。 まず、試みられているのは、眠らずに何日も働き続けるようなヒ卜を作ることです。戦争になったら、そうしたヒトは大変役に立ちますから、軍隊ではすでにそうした研究が進められています。 今は睡眠の代わりをする飲み薬の開発ですが、やがて、遺伝子を変えてしまおうということになるでしょう。 夜でも見える視力、高い音や小さな声を聞き逃さない聴力熱にも侵されない皮膚を持つヒトは、大変有用です。放射線や化学物質に抵抗性のある身体を持っていれば、工場で事故が起こったときも救助に向かうことができます。ストレスに耐えられるように改造したヒ卜でないと、社長になれないようになるかもしれません。SFの世界はまもなく現実になります。 DNA修復力・・・壊れた遺伝子を修復する能力が高い動物ほど、長生きをすることがわかります。 活性酸素の害 細胞にエネルギーを供給するためにグルコースを燃やすと、どうしても活性酸素ができてしまいます。それは、反応性が非常に強いので、核のDNAからタンパク質や脂肪まで、どんな分子でも酸化して傷つけてしまいます。SODという酵素がそれを防いでいます。 活性酸素を作る原因 活性酸素は、呼吸のほかに、紫外線やタバコによっても作られます。そうした反応性の高い酸素は、遺伝子の構造を壊し、脂質やタンパク質を酸化して、固くて動けない分子を作ります。それが高じると、細胞が老化してしまいます。 テロメア、染色体の端 テロメアは、白く見える染色体の先端を保護するDNAの部分です。テロメアは分裂のたびごとに短くなってゆきます。ですから、テロメアの長い細胞は、たくさんの回数分裂することができます。逆に、テロメアの長さは、その細胞の年齢に当たります。 人生のステージ・・・人間の一生は、時代によっても文化によっても、さらに個人によっても、とても違います。 加齢に伴う機能低下 歳をとると、身体の働きは何でも衰えます。肺活量も、細胞の水分量も、代謝も、みんな30歳の時よりは下がってしまいます。ただし、その速さや程度は、器官によって違います。 呼吸は早く大きく低下しますが、基礎代謝量などは比較的穏やかです。老化、衰えから見えてくるものもあり、生命を調律して、指揮する時間、老化は、ヒトにとっては対処が難しい時間の作用です。老化すると、眼も耳も筋肉の柔軟性も臓器の働きもみんな衰えます。しかし、その時はじめて、人間の全体をおぼろげにも理解するのではないでしようか?老いを知らない人には、生命の意味を理解することはできません。 |
| 老化とは機能の衰え ヒトは、歳とともに老化していきま環老化は、その原因が未だ解明されていませんし、押しとどめることもできません。それは、時間の経過を押しとどめることができないのと同じことでま老化とは、歳とともに全身のあらゆる機能が衰えることをいいます。心臓だけが衰えたり、筋肉だけが弱く至たりすることは、病気ではありますが、老化とはいいません。老化すると、眼も、耳も、身体の柔軟性も、呼吸 により酸素を取り入れる能力も、みんな衰えます。肺は、一二歳頃まで成長しますが、二五歳ぐらいからは機能が低下し始めます。たとえば、肺のガス交換を行う肺胞の表面積は、八〇歳になると二〇歳の頃の四分の三に低下します。そのほか、筋肉や血管の老化がこれに加わって、肺機能はさらに衰えてゆきます。歳をとると病気になりやすくなるのは、免疫系の衰えからもきます。免疫細胞の働きを活発にする胸腺は、妄歳ぐらいでもっとも活発で、それ以降、二〇歳前にはもう萎縮を始めます。 しかしいちばん早く減少するのは、脳下垂体から放出される成長ホルモンでしょう。このホルモンは、一〇歳ぐらいでもっとも多く分泌され、二〇歳にはもう半分以下になります。成長ホルモンは、成長期だけ働くホルモンではなく、細胞のアミノ酸取り込みを促進して、皮膚や骨の若さを保ち、心臓や肺の機能を維持し、脳の働きを助けることにも使われます。このように、ホルモンを作る内分泌器官は、身 体全体に大きな影響を持っています。女性の性ホルモンの分泌量は、二〇代にピークを示した後、急激に減少し、四〇歳でほぼ半分、六〇歳になると最大の頃の一割以下しか作られません。男性ホルモンは、減少が緩やかで、六〇歳でも若いときの三分の二ほどの分泌量を維持しています。 図5・12に示すように、肺の酸素取り込み量は、七〇歳になると若いときの半分にまで低下してしまいますが、それでも元気に生活することができるのですから、身体はかなりの余裕を持って作られていると考えて正しいのかもしれません。 老化は、ヒトのすべての機能に見られますが、その速さはそれぞれ違っています。いつまでも若さを保っている人もいれば、若いうちから髪が薄くなって、早く老化が目立つ人もいます。ここでも、時間は一棟ではありません。老化のどうしても押しとどめることができない性質は、時間と似ています。時間の進みも、どうしても押しとどめることはできません。しかし、老化による機能低下に器官や人によって差がある事実は、時間の進みも、もしかして速くしたり遅くしたりできるかもしれないという希望を与えてくれます。 |